羊の木を観ました
映画「羊の木」について忘れないうちに。
言わずもがな錦戸亮ちゃんは最高でしたので、思ったことや考えたいこと、好きなところをメモしておこうと思います。
6人の元殺人犯を月末が迎えに行くシーンは、それぞれ短いながらも端的に6人のことを表していたと思う。
単調な音楽によって、これから起こる色々を予感させているような不気味な感じだった。
6人が元殺人犯だとわかった状況で淡々と話が進んで行かれると、どこでどうなるのか全然読めなくてずっと身構えてドキドキしてしまう。
その中で、唯一月末が心を通わせたのかな?と思った宮越は、結果的には殺人を繰り返してしまう人物ではあったけど、大野の「人が肌で感じることは大概正しい」という台詞にあったように、全部が間違っていたとは言えない気がする。
劇中で何度も繰り返し「友達」という言葉が出てきて、監督自身パンフレットでも友情についての話にしたいと言っていたので、個人的には宮越は完全悪にはならないのかなぁと。なんとなく、あんまり否定したくならない登場人物だと思ってしまう。
(監督が後半部屋に遊びにきた宮越を見てつい寝てしまった月末の場面は大事なシーンだと仰ってることに納得した。)
宮越という登場人物は6人の中でも一番何を考えているのかわからないけど、パンフレットで松田龍平さんが監督に言われたという、宮越は「どこか神様みたいな人」という表現で腑に落ちた部分がある。
もちろん人として間違ったことを繰り返してはいるけれど、サイコパスみたいな人物ではなく、自分の信念をひたすらに貫くような何か強いものを持っているような気がする。
それに、宮越が月末達のバンドに興味を持ったのは単純に音楽や月末達に興味を持ったからかなと思ってる。
新しい土地で新しい自分を受け入れてもらいたかったのかな…?
優香さんの登場シーンはどれも妖艶すぎてびっくりしてしまった…!
人ってあんなに色気をだせる動物なのですね…。
月末のお父さんを好きになった理由が語られていないみたいな意見もあるようだけど、私は一目惚れなのかな、と思った。それくらい強い恋愛感情で生きている登場人物なのかもしれない。
歯磨きを手伝ったり、みかんをむいたりすることだけであんなに色気をだせることにドキドキした。
桐島〜でも思ったけど、吉田監督の映画、めちゃくちゃドキドキするキスシーンがあるな…!
パンフレットでモーリーロバートソンさんが仰っていた「のろろ(住民はそれを直接見ないようにして暮らしている)は目の前に迫っている問題を直視せず先送りすることのメタファー」という考えは全く感じていなかったのですごく新鮮だった。監督は意識していなかったと仰ってるけど、そういう捉え方もできそう。
それにしても、見てはいけないものがお祭りに登場して、海辺には像もあるって不思議…。
ラストシーンは自分の中では結構唐突で、そういう展開か…と思ったシーンの一つだった。監督が勧善懲悪ともバッドエンドとも違うと言っていたように、ただ単に悪いことをしたから天罰が下りましたではないのかなと思ったり。このシーンは観る人によって本当に沢山解釈がありそう…(賛否両論もありそう…。)
みんな色々自分の思ったことを教えてください。。
まだ全然消化できていないので改めてみて考えたい。
言い伝えではどちらか片方が生き残るとされているけど、それもその通りになったのかは謎だよな〜。
エンドロールは左上から斜めに右下に流れて行き、初めはお洒落だなぁとぼーっとみていたけど、最後に海に消えていっているような描写があったので、そういう意味も含まれているのかな、と。
観終わった後に余韻が残る、不思議な映画だったので、いつもとは違う感覚をさらに強くさせた演出だった気がする。
(錦戸亮がエンドロールの初めに出てくるのにはやはりグッとくる…良かった…!)
主題歌「Death is not the end」は個人的には清美の(死んでしまったカエルに対して)「さよならじゃないよ、木が生えて、また亀に会えるから」と言っていた部分にかかるのかなぁと思った。
大野や太田、福元と違い魚深で新しい出会いや人との関わりを見つけた人物ではないけれど、物語のその後の希望を感じさせる人物だよね、きっと。諸々を埋葬して芽が出てきたシーンは、タイトルとも繋がる重要なシーンなのかな…。
市川実日子さんのインタビュー(だったかな?)で、芽が出てくるシーンでは、脚本のト書きには「笑う」と書いてあったけど、直前に監督には笑わなくていいと言われたと仰っていて、あのシーンで少し微笑んでいたらまた違ったイメージだったかもなぁと思った。
一方で、主題歌を「宮越の死で終わりではなく、今後も何かが起きる」みたいなサイコな捉え方もできそうだけど、個人的にはあんまり好きではないかな、笑
もっと希望を持った話であってほしいと思ってしまう。
昨日は舞台挨拶の中継に行ったけど、その中継が始まるまで、全く「関ジャニ∞の中の錦戸亮」って感じがしなかったのが不思議だった。一人の役者さんとして亮ちゃんのことを観ていたと思う。
舞台挨拶で監督が「映画は俳優を観に行くもの」と仰っていたけれど、その中に「俳優の錦戸亮」も含まれているのかなと思うとすごく誇らしい。私も、好きな俳優さんが出ているからという理由でよく映画を観に行くから、その選択肢の一つとして錦戸亮という人物が入ったかと思うとグッとくる。
もし今私が関ジャニ∞のファンでなかったとしても、この映画は観に行っていた気がする、となんとなく思う。
舞台挨拶ではやっぱり亮ちゃんファンが多く、なんとなくみんなが我が孫の晴れ姿を見にきたみたいな様子で見守っていたのが面白かった。亮ちゃんは、ついそんな気にさせたしまう素敵な人…。
…と、まぁ長々と書いたけれど、来週あたりにもう一度みて、また違った感じ方や楽しみ方をしたいなと思います。
素敵な作品に出会えて感謝。